新世代ディーゼルは日本でも受け入れられるのか?


E320 CDIを皮切りにいよいよ今年からメルセデスのディーゼルモデルが、久々に正規導入されることになります。自動車雑誌を熱心に読まれている方でしたら、ヨーロッパではディーゼル車の人気が高まっていることをすでにご存知かと思いますから、いよいよその流れが日本にも押し寄せるのか、と納得されるかと思います。しかし、多くの方にとってはなぜ今ディーゼルエンジンなのだろうと思われることでしょう。
 環境問題に関心が集まる昨今、自動車の排出ガスによる大気汚染やCO2による温暖化の促進などにも当然非難の矛先は向けられており、自動車メーカーをはじめ関係各所では早急に対策すべく様々な手法が検討されています。根本的な解決方法としては、ガソリンや軽油などの化石燃料を全く使わないことなのですが、電気自動車にしろ、水素などの代替燃料車にしろ、まだまだ実用化の目処が立っていないというのが現状です。そこでその間の“繋ぎ”として現在模索されているのが、いわゆるエコカーと呼ばれる車に採用されている技術です。それは日本ではハイブリッドエンジンであったり、リーンバーン(希薄燃焼)エンジンであったりしますが、ヨーロッパではディーゼルエンジンがその役割を果たしているというわけです。
 なぜ地域(国?)によってそれぞれ違う方式を採用するようになったのかは、それぞれの置かれる環境や状況の違いによるものでしょう。日本ではご存知のように96年の特石法廃止により、ディーゼルエンジンの燃料となる軽油の値段が大幅に引き上げられ、それまではガソリンに対して1リッターあたり50円ほども安かったのが、その差が一気に半分以下へと縮まったこと、ディーゼルエンジン=遅い、うるさい、排ガスが汚いというネガティブなイメージが強く根付いていたこと(某都知事さんのキャンペーンによっていっそうその傾向が強まりましたが……)、などが原因でディーゼルエンジンを搭載した乗用車は減少の一途を辿っていました。そんな状況であえてディーゼルで環境性能に取り組むよりは、全く新しい技術として電気モーターとガソリンエンジンを組み合わせたハイブリッド車を推す方が、販売的にも経営的にもメリットが大きいと判断されたのでしょう。

 一方、日本とは比べ物にならないほど長距離を移動することが多いヨーロッパでは、燃費や燃焼効率に優れるディーゼルエンジンを支持する考え方がベースにあり、乗用車においてもディーゼルエンジンは一定のシェアを保ってきました。90年代に入って自動車の排気ガスによる環境問題がクローズアップされるようになってくると、ヨーロッパでは96年のユーロ2を皮切りに排ガスの規制はますます厳しくなってきます。そんな中、ヨーロッパのメーカーは少ない燃料で長距離が走れ、ガソリンエンジンに比べてCO2の排出量が少ないディーゼルエンジンの特性に着目し、その長所をさらに引き出し、短所を補うべく技術開発を進めてきました。その結果が現在の新世代ディーゼルというわけなのです。
 ではその新世代ディーゼルとは、どのようなエンジンなのか? その辺りについて、また次回ご報告いたしましょう。

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